宮地雅子×東京サンシャインボーイズ

 東京サンシャインボーイズに所属の俳優の経歴と、(個人的な)おすすめ作品、役どころも紹介。第四弾は宮地雅子。

人物

 1966年4月28日生まれ。1988年『ブロードウェイの生活』より東京サンシャインボーイズに参加。斉藤清子が引退したため、現在では唯一の女性正劇団員となった。劇団時代から、物静かな年配女性に恋する少女まで幅広い役どころをこなすが、最も得意とするのは「幸は薄いがバイタリティに溢れた主婦」(三谷幸喜談)。

必見作品
『ラヂオの時間』(1993年 舞台) 鈴木都役

 映画化もされた人気作品。作家志望の主婦の初執筆作がラジオドラマ化されたものの、出演者やスタッフの都合でどんどん書き換えられてしまう。作家の望みはただ一つ、最後には主人公メアリーと恋人ドナルド・マクドナルドが結ばれること。しかしドナルドはいろいろあって宇宙で消息を絶つ。物を作る人間たちの執念、諦め、情熱が詰め込まれた快作。舞台版もDVDが発売されている。

 作家役を、舞台版では宮地雅子が演じた。初めて芸能の現場に触れてはしゃぐ顔、改変に怒り意固地に座り込む顔、終盤の感激する顔、どのシーンも初々しく、そしてとても20代と思えないほど落ち着いた台詞回し。 

『12人の優しい日本人』(2020年 zoom配信) 陪審員10号

 映画『12人の怒れる男』をオマージュした、東京サンシャインボーイズの代表作。夫殺害の容疑をかけられる女を、12人の陪審員たちが時に言い争い、時に付和雷同しながら無罪に導くまでを描く会話劇。映画版は各種配信等で視聴可能。2020年には劇団員が集結しzoom演劇版が配信された。

 相島一之演じる陪審員2号、梶原善の7号の芝居は映画版で見ることができるが、宮地含む他の陪審員は映画には出ていないので、zoom版の配信は非常に貴重な機会だった。最後、取り乱してボロボロの2号を見つめる同情と優しさに満ちた表情を、zoom画面とはいえアップで見ることができたのも良かった。そして、突然鼻血が出る芝居をこんなにキレよく演じることができるのは宮地くらいのものだと思う。

出演作品

1988年 舞台『ブロードウェイの生活』(平和ポーラ)、舞台『青池さんちの犯罪』(桑原てい) 

1989年 舞台『こんな夜の話』、舞台『デラシネ父さんのこと』(おかあさん(坂東勝江))、舞台『天国から北へ3キロ』(千代田たま子)、舞台『サンシャインの世界は廻る』、舞台『眠りラクダのはじける音(再演)』(テトラ)

1990年 舞台『東京の冬』、ドラマ『やっぱり猫が好き殺人事件』、舞台『彦馬がゆく』(小豆(彦馬の娘))、舞台『12人の優しい日本人』(陪審員10号)、舞台『ブロードウェイの生活(再演)』(平和ポーラ)

1991年 舞台『12人の優しい日本人』(陪審員10号)、舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕をおろすな』(番場のえ)、舞台『小さな戦場の大きな女』(井沢なぎさ)

1992年 ドラマ『ショウ・マスト・ゴー・オン 幕をおろすな』(番場のえ(役者兼舞台監督見習い))、舞台『なにもそこまで』(只野むつみ)、舞台『12人の優しい日本人(再々演)』(陪審員10号)、舞台『もはやこれまで』

1993年 ドラマ『振り返れば奴がいる』(内村看護師/1~8話、10話)、舞台『ラヂオの時間』(鈴木都(新人作家))、舞台『彦馬がゆく(再演)』(小豆(彦馬の長女))

1994年 舞台『音楽劇 サザエさん』(ワカメ)、舞台『東京サンシャインボーイズの「罠」』(ヘガッパ(細川ふみえ))

1995年 舞台『君となら』(小磯ふじみ)

1996年 舞台『巌流島』

1997年 舞台『君となら(再演)』(小磯ふじみ)

1999年 ドラマ『古畑任三郎 VS SMAP』(衣装スタッフ黒部)

2000年 舞台『オケピ!』(チェロの十勝)

2002年 ドラマ『HR』(梅津/9話、11話、21話~23話)

2009年 舞台『returns』(カトウタエ)

2020年 zoom版『12人の優しい日本人』(陪審員10号)

2025年 舞台『蒙古が襲来』